日本市場には125cc仕様が投入されることがはっきりしたNMAX
軽二輪でないことを嘆く声も聞かれるが、わざわざ専用のエンジンを用意したわけでは無く、
もともと仕向地によって155ccと125cc、2つの仕様から選んで乗せ換えていたらしい
ちょっと有料道路が使えると便利なシチュエーションは多々ある一方で、
最近は保険料が安くなった年齢でも、家族会議の結果125ccが1台だけ、
という方も増えているようだし、老若男女問わず幅広い層にアピールするには無難な選択だと思う
おそらくコーションデカール以外はEU圏向け125cc仕様と同じものが入ってくるだろう
参考:イギリスヤマハの商品紹介ページ
http://www.yamaha-motor.eu/uk/products/scooters/urban/nmax.aspx
シグナスとマジェスティSは燃料タンクをフロア下に収めた都合で、
シートとフロアの高低差が足りない印象があったけど、NMAXはいくらか余裕がある感じ
さらに足を前に投げ出すことも可能なフロア形状となっている
このポジションの自由度はトリシティにとっても脅威となるだろう
ジェットヘルメット1個半ほどありそうなメットインに、なんとかロープがかかりそうなグラブバー
燃料タンクはトリシティと同じ6.6リットルで少々頼りないけど、
給油口がフロアトンネルにあるためシートを開かず給油できる
距離を稼ぐような用途ではトリシティよりも快適に使えると思う
より軽いボディに高出力のエンジン、加速力にも期待が持てそうだ
それにしても、やけに最大トルクの発生回転数が高いな・・・
と思って眺めてたら、このエンジン、バルブリフト量の可変システムを持っていやがった
欧州ヤマハ「Design Cafe」技術解説ページ
http://www.yamaha-motor.eu/designcafe/en/index.aspx?view=article&id=613172
「VVA」という名称らしい
ページ中程の部品図と解説文、
モーターショーで展示されているカットエンジンの写真を見る限りでは、
吸気バルブのカム山を2プロフィール用意し、さらにロッカーアームを2分割
低~中回転域ではハイカム側のアーム(図ではオレンジに着色された部品)を空振りさせて、
ローカム側のリフト量で運転
回転を上げると6000rpmを境に、電動のアクチュエータでノックピンを挿入してアームを連結、
ハイカムでの運転に切り替えているらしい
ホンダのSOHC VTECとよく似た方式
ABSの標準装備も含めて、ほとんど四輪車と同等の技術水準だな・・・
※2016年3月17日
一部訂正
いくらかマシになりたいダメ人間が綴る、バイクと過ごす日々のあれこれ
3年間連れ添ったトリシティ125(SE82)と2018年3月30日にお別れ
同日、スーパーカブ110(JA44)を受領
主要コンテンツへの直接リンク集は、ブログ最下部です
2015/10/30
2015/10/26
カワサキの新型ミニモト
Z125が発表されたと知って公式サイトを覗いたら、
他にも気になる車種を発見
https://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/newmodels/new.html
KLX150系とD-TRACKERに注目
このシリーズは主にマレーシアやインドネシアといった東南アジア市場向けの車種で、
日本仕様のKLX125とD-TRACKER125の姉妹車
厳密には144ccエンジンを積むあちらのほうが原種のKLX140Lに近い
125系のエンジンは排気量を減じてFI化した派生形となる
D-TRACKERのホイールが明らかに大きい
前後14インチから17インチとなっている
ぱっと見だと別車種のように印象が違う
これは、ひょっとすると次期125も・・・?
現行のDトラ125は、あの何とも言えないファンキーな見た目とは裏腹に、
とても堅実な作りのシャシーなのだそうだ
ホイール径が変われば乗り味も変わってくるだろうけど、果たしてどうなる
KLX150Lは前21インチ・後18インチというフルサイズのホイール、
加えてKLX150BFはフロント倒立サスとアルミリムを採用している模様
無印150と125の前19インチ・後16インチホイールは、
足付きがいい代わりに公道使用可能なタイヤの選択肢が少なくて困ると聞く
さて、次期125は・・・?
Z125/PROは明確にKSRシリーズの流れを汲んでいるけど、
リアサス周辺を見る限りではフレームは新作らしい
全然エンジンを覆っていない「エンジンシュラウド」(公式解説のまま)が御愛嬌
1人乗り&キャブレター仕様で通していたKSR110/PROに対して、
排気量を拡大しつつ2人乗り&FI化されているのが大きな違いだろう
もしかしなくてもブライトが取り扱うだろうけど、
この仕様なら正規輸入もあり得るんじゃないだろうか
国内4社中唯一、モーターショー出展内容について詳細なリリースを出していないカワサキ
何かサプライズがあるのか、否か?
他にも気になる車種を発見
https://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/newmodels/new.html
KLX150系とD-TRACKERに注目
このシリーズは主にマレーシアやインドネシアといった東南アジア市場向けの車種で、
日本仕様のKLX125とD-TRACKER125の姉妹車
厳密には144ccエンジンを積むあちらのほうが原種のKLX140Lに近い
125系のエンジンは排気量を減じてFI化した派生形となる
D-TRACKERのホイールが明らかに大きい
前後14インチから17インチとなっている
ぱっと見だと別車種のように印象が違う
これは、ひょっとすると次期125も・・・?
現行のDトラ125は、あの何とも言えないファンキーな見た目とは裏腹に、
とても堅実な作りのシャシーなのだそうだ
ホイール径が変われば乗り味も変わってくるだろうけど、果たしてどうなる
KLX150Lは前21インチ・後18インチというフルサイズのホイール、
加えてKLX150BFはフロント倒立サスとアルミリムを採用している模様
無印150と125の前19インチ・後16インチホイールは、
足付きがいい代わりに公道使用可能なタイヤの選択肢が少なくて困ると聞く
さて、次期125は・・・?
Z125/PROは明確にKSRシリーズの流れを汲んでいるけど、
リアサス周辺を見る限りではフレームは新作らしい
全然エンジンを覆っていない「エンジンシュラウド」(公式解説のまま)が御愛嬌
1人乗り&キャブレター仕様で通していたKSR110/PROに対して、
排気量を拡大しつつ2人乗り&FI化されているのが大きな違いだろう
もしかしなくてもブライトが取り扱うだろうけど、
この仕様なら正規輸入もあり得るんじゃないだろうか
国内4社中唯一、モーターショー出展内容について詳細なリリースを出していないカワサキ
何かサプライズがあるのか、否か?
2015/10/17
新型LMW
公式twitterよりも明るい画像がカーニュースサイトにあったのでリンクしておこう
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151016_726086.html
新3輪も新3輪だけど、他の車種も負けず劣らずの強烈さ
2WDの電動バイクに、グラマーな4輪車・・・
ヤマハはどこに行こうとしているんだ・・・
最後のLMWの写真、ぼんやりと見えるエンジンに注目
MT-09の850cc3気筒と同じものだろうか
特にマフラーと、腰下右前方にあるクーラントタンクカバーの形がほぼ一致する
フロントフォークが外側に配置されて、ガッシリとした大型バイクらしい雰囲気に
真横から見ると普通の2輪車に見えるんじゃないだろうか
Resonator125 ですって・・・!?
ヤマハにはY125もえぎという前科があるんだ!
絶 対 に 期待なんてしないんだからね! ホントだからね!
初期のエストレヤにも同じことを思っていたけど、
この手の懐古的な車に前後ディスクブレーキという組み合わせは、
レトロフューチャーな感じがしてなかなかかっこいいと思う
スイングアーム支持のリアフェンダー、センターのみのスタンド、
液晶ディスプレイと思しきメーターも、古臭くなり過ぎずに良い雰囲気を醸していやがる・・・
レゾネーター=共鳴器という名前は、楽器屋のほうも意識したのかな
自動車界隈では吸気系に設けられる減音・充填効率向上装置のことだけど、
アコースティックギターなどの部品にも同じ名前のものがあるそうで
思えば先代のベンリィ、YB-1、コレダといった、
ビジバイベースのレトロ調マニュアル原付が消えてから、もうだいぶ経つんだな
また流行の波が来ないものか・・・
できればミッションはロータリー式で・・・慣れると便利なんだぜ、あれ・・・
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151016_726086.html
新3輪も新3輪だけど、他の車種も負けず劣らずの強烈さ
2WDの電動バイクに、グラマーな4輪車・・・
ヤマハはどこに行こうとしているんだ・・・
最後のLMWの写真、ぼんやりと見えるエンジンに注目
MT-09の850cc3気筒と同じものだろうか
特にマフラーと、腰下右前方にあるクーラントタンクカバーの形がほぼ一致する
フロントフォークが外側に配置されて、ガッシリとした大型バイクらしい雰囲気に
真横から見ると普通の2輪車に見えるんじゃないだろうか
Resonator125 ですって・・・!?
ヤマハにはY125もえぎという前科があるんだ!
絶 対 に 期待なんてしないんだからね! ホントだからね!
初期のエストレヤにも同じことを思っていたけど、
この手の懐古的な車に前後ディスクブレーキという組み合わせは、
レトロフューチャーな感じがしてなかなかかっこいいと思う
スイングアーム支持のリアフェンダー、センターのみのスタンド、
液晶ディスプレイと思しきメーターも、古臭くなり過ぎずに良い雰囲気を醸していやがる・・・
レゾネーター=共鳴器という名前は、楽器屋のほうも意識したのかな
自動車界隈では吸気系に設けられる減音・充填効率向上装置のことだけど、
アコースティックギターなどの部品にも同じ名前のものがあるそうで
思えば先代のベンリィ、YB-1、コレダといった、
ビジバイベースのレトロ調マニュアル原付が消えてから、もうだいぶ経つんだな
また流行の波が来ないものか・・・
できればミッションはロータリー式で・・・慣れると便利なんだぜ、あれ・・・
2015/10/10
備忘録:初期型トリシティ125のエンジン周りあれこれ &BLUE COREエンジンについて少々
※注・2016年11月16日現在
この投稿は、2014年から2016年にかけて販売された、
日本仕様車部品番号検索で言うところの2015年度型と2016年度型、
つまり初期型トリシティのエンジンについての備忘録・考察です
2016年、ヤマハの125ccスクーター各車種のエンジンは、
続々とBLUE COREタイプへの更新がおこなわれた
ヤマハ発動機の公式リリースによれば、
単に燃費および出力を改善・向上させただけではなく、
比較的容易にバリエントを生み出せる設計となっているようである
2016年第4四半期時点では、125cc空冷型、
および125cc・155cc水冷型の2種に大別される
空冷型は、いわゆるアイドリングストップ機能を付与したタイプが存在するのが特徴で、
主にASEAN地域向けの製品へと搭載されている
普及価格帯の車種はもちろん、従来は水冷エンジン搭載だった車種に適用された例もある
水冷型は、吸気バルブリフト量の可変機構、VVAを備えた4バルブヘッドが特徴だ
NMAX兄弟やトリシティ155はもちろん、2017年型トリシティ125へも採用された
参考:当ブログ投稿
速報?・次期型トリシティ125 &近況報告
では初期型トリシティ125のエンジンは、というと、
BLUE COREタイプの1世代前のもので、技術的には過渡にあたる
2015年型以前のASEAN地域向けスクーター、
GT125 や AEROX 125 LC などに搭載されていた水冷エンジンをベースとして、
・吸排気経路のレイアウト、特にエアクリーナー位置の変更
・右サイドプレート追加と、リアサスペンションのツインショック化
・ディスクブレーキ化
・キックスターターの廃止
などを施したタイプだ
一部の貿易・通信販売業者がキックスターター追加キットを供給しているが、
これは上記車種などからの純正部品流用である
ローラーロッカーアームや、
総アルミ合金製・スリーブレス・めっきレスのDiASilシリンダーなど、
後のBLUE COREエンジンに盛り込まれる要素を先駆けて採用している
前置きが長くなったが、本題に入る
初期型トリシティ125のクラッチ接続・解放速度は、新車時のメーター読みで15km/h
加速時はスロットル開度を一定に保つと15km/hと少しで繋がり、
減速時は15km/hで切れる
回転数に対する車速は、後輪の円周を1.58mとし、
変速比下限と上限、その間は0.5の倍数ごとに計算すると以下のとおり
Primary R.G.Ratio : 1.000
Secondary R.G.Ratio : 9.533
発進時、半クラッチ状態となるまでに少しハイレシオ側に変速し、
クラッチが繋がるにつれてトルクカムが作用して、
改めてボトムレシオ側へ変速されるVベルトCVTの特性を考えると、
およそ3000rpmから4000rpmの間でクラッチが接続されているようだ
カタログ上の最高出力点が9000rpmなのに対し、
実際には8000rpmでレブリミッターが作動すると目されている
8000rpmで目一杯ハイレシオ側に変速すると、ちょうど100km/hとなる
おそらくはスピードリミッター代わりなのだろう
車速に応じて最高回転数を変えるような手の込んだ制御が為されているのでなければ、
加速中も8000rpm以上の回転数は使っていないということになる
ちなみに最大トルク発生点は5500rpm
平坦地での60km/h巡行時には、
この回転数の前後を使うセッティングとなっている
そんなにピーキーな出力特性のエンジンとは思えないので、
仮に社外品のECUなどでレブリミッターを解除し、
ウェイトローラーや各スプリング諸々も変更して再セッティングをしたところで、
大して加速力は向上しないだろう
プラセボレベルのメリットと引き換えに、耐久・信頼性と財布の中身を失った挙句、
無駄にうるさい盆栽が出来上がるのがオチだと思う
どうせ作るなら良く手入れされた盆栽、
より直截に言うと優れたカスタム車を目指そうぜ・・・
例えば、クラッチ接続から60km/hまでは限りなくニアに9000rpmをキープして、
巡行に移ったら純正同様に5500rpm前後へ収まるようなセッティングをだな・・・
あ、レース用のエンジンを仕上げるときは話が変わるから注意ね
効果がプラセボレベルでも、きちんと検証したうえで、
細かな改修を積み重ねていくのは重要だよ
出力そのものは吸排気系と燃調をいじればある程度は上げられるだろうが、
触媒の目詰まりや焼損のリスクが出てくる
何より公道で走らせる限り、備え付けの排ガス浄化装置の機能を殺すのは不正改造となる
多くの純正ECUも、最高出力付近の高回転域での運転時や、
スロットル急開時のように回転数に対してスロットル開度が過大となった際には、
焼き付き・失速の防止と出力発生を優先するため、一時的に燃調を濃くしているものだけど、
低回転域から巡行時の常用回転域までチューナー側が手を出したり、
高回転域で純正以上の増量供給をするとなると、話が変わってくる
社外ECUや割り込み制御器の場合、設定自体はPCやスマートフォンなど、
ありふれた電子端末のアプリで簡単におこなえるものが多いけど、
きちんとしたセッティングの解が出せるかどうかはチューナー次第、それなりに難しい
それでいて触媒にはダメージを与えず、純正と同程度に機能させるとなると、なおさらだ
本格的に煮詰めようとするなら、空燃比計などのツールが必要となるだろう
社外マフラーもいくつか出ているようだが、吸気側までセットとなった製品はまだ見たことが無い
下手に手を出さないほうがいいように思われる
強いて言うならフルエキで、エキパイの長さを充分にとって排気慣性を稼いだ仕様のものなら、
エアクリ周りが純正のままでも、あるいは・・・?
日本仕様車は騒音規制をクリアするため、タイ仕様や欧州仕様に対して、
ドリブンプーリーの部品変更によって加速中の使用回転数が抑えられているという説もある
しかし日本仕様トリシティの騒音規制値と測定方法には、
国連欧州経済委員会のR41-04規則、国内で言うところの平成26年規制が適用されており、
他の仕様に対して甚だしいデチューンが施されているとは考えにくい
自分個人の乗車感覚はあまりアテにならないが、
特に谷間も無くスムーズに速度が伸びると感じる
同一の仕様か、もし異なる部品を使用していたとしても、そう極端な仕様ではなさそうである
H13・22規制の理不尽さから連想されて広まった誤解、
現代バイク乗りのトラウマに由来する都市伝説という見方もできる
・・・というのはちと大袈裟か?
※追記
2015年10月14日
社外マフラーについて追記
2016年9月25日
タイトル変更、内容一部改訂
2016年10月2日
一部追記
2016年10月31日
一部追記・修正
2016年11月16日
2017年型トリシティ125の発表に合わせて加筆
2017年10月24日
一部加筆
この投稿は、2014年から2016年にかけて販売された、
日本仕様車部品番号検索で言うところの2015年度型と2016年度型、
つまり初期型トリシティのエンジンについての備忘録・考察です
2016年、ヤマハの125ccスクーター各車種のエンジンは、
続々とBLUE COREタイプへの更新がおこなわれた
ヤマハ発動機の公式リリースによれば、
単に燃費および出力を改善・向上させただけではなく、
比較的容易にバリエントを生み出せる設計となっているようである
2016年第4四半期時点では、125cc空冷型、
および125cc・155cc水冷型の2種に大別される
空冷型は、いわゆるアイドリングストップ機能を付与したタイプが存在するのが特徴で、
主にASEAN地域向けの製品へと搭載されている
普及価格帯の車種はもちろん、従来は水冷エンジン搭載だった車種に適用された例もある
水冷型は、吸気バルブリフト量の可変機構、VVAを備えた4バルブヘッドが特徴だ
NMAX兄弟やトリシティ155はもちろん、2017年型トリシティ125へも採用された
参考:当ブログ投稿
速報?・次期型トリシティ125 &近況報告
では初期型トリシティ125のエンジンは、というと、
BLUE COREタイプの1世代前のもので、技術的には過渡にあたる
2015年型以前のASEAN地域向けスクーター、
GT125 や AEROX 125 LC などに搭載されていた水冷エンジンをベースとして、
・吸排気経路のレイアウト、特にエアクリーナー位置の変更
・右サイドプレート追加と、リアサスペンションのツインショック化
・ディスクブレーキ化
・キックスターターの廃止
などを施したタイプだ
一部の貿易・通信販売業者がキックスターター追加キットを供給しているが、
これは上記車種などからの純正部品流用である
ローラーロッカーアームや、
総アルミ合金製・スリーブレス・めっきレスのDiASilシリンダーなど、
後のBLUE COREエンジンに盛り込まれる要素を先駆けて採用している
前置きが長くなったが、本題に入る
初期型トリシティ125のクラッチ接続・解放速度は、新車時のメーター読みで15km/h
加速時はスロットル開度を一定に保つと15km/hと少しで繋がり、
減速時は15km/hで切れる
回転数に対する車速は、後輪の円周を1.58mとし、
変速比下限と上限、その間は0.5の倍数ごとに計算すると以下のとおり
Primary R.G.Ratio : 1.000
Secondary R.G.Ratio : 9.533
rpm\T.Ratio | 2.361 | 2 | 1.5 | 1 | 0.794 |
3000 | 13km/h | 15km/h | 20km/h | 30km/h | 38km/h |
4000 | 17km/h | 20km/h | 27km/h | 40km/h | 50km/h |
5000 | 21km/h | 25km/h | 33km/h | 50km/h | 63km/h |
6000 | 25km/h | 30km/h | 40km/h | 60km/h | 75km/h |
7000 | 29km/h | 35km/h | 46km/h | 70km/h | 88km/h |
8000 | 34km/h | 40km/h | 53km/h | 80km/h | 100km/h |
9000 | 38km/h | 45km/h | 60km/h | 89km/h | 113km/h |
発進時、半クラッチ状態となるまでに少しハイレシオ側に変速し、
クラッチが繋がるにつれてトルクカムが作用して、
改めてボトムレシオ側へ変速されるVベルトCVTの特性を考えると、
およそ3000rpmから4000rpmの間でクラッチが接続されているようだ
カタログ上の最高出力点が9000rpmなのに対し、
実際には8000rpmでレブリミッターが作動すると目されている
8000rpmで目一杯ハイレシオ側に変速すると、ちょうど100km/hとなる
おそらくはスピードリミッター代わりなのだろう
車速に応じて最高回転数を変えるような手の込んだ制御が為されているのでなければ、
加速中も8000rpm以上の回転数は使っていないということになる
ちなみに最大トルク発生点は5500rpm
平坦地での60km/h巡行時には、
この回転数の前後を使うセッティングとなっている
そんなにピーキーな出力特性のエンジンとは思えないので、
仮に社外品のECUなどでレブリミッターを解除し、
ウェイトローラーや各スプリング諸々も変更して再セッティングをしたところで、
大して加速力は向上しないだろう
プラセボレベルのメリットと引き換えに、耐久・信頼性と財布の中身を失った挙句、
無駄にうるさい盆栽が出来上がるのがオチだと思う
どうせ作るなら良く手入れされた盆栽、
より直截に言うと優れたカスタム車を目指そうぜ・・・
例えば、クラッチ接続から60km/hまでは限りなくニアに9000rpmをキープして、
巡行に移ったら純正同様に5500rpm前後へ収まるようなセッティングをだな・・・
あ、レース用のエンジンを仕上げるときは話が変わるから注意ね
効果がプラセボレベルでも、きちんと検証したうえで、
細かな改修を積み重ねていくのは重要だよ
出力そのものは吸排気系と燃調をいじればある程度は上げられるだろうが、
触媒の目詰まりや焼損のリスクが出てくる
何より公道で走らせる限り、備え付けの排ガス浄化装置の機能を殺すのは不正改造となる
多くの純正ECUも、最高出力付近の高回転域での運転時や、
スロットル急開時のように回転数に対してスロットル開度が過大となった際には、
焼き付き・失速の防止と出力発生を優先するため、一時的に燃調を濃くしているものだけど、
低回転域から巡行時の常用回転域までチューナー側が手を出したり、
高回転域で純正以上の増量供給をするとなると、話が変わってくる
社外ECUや割り込み制御器の場合、設定自体はPCやスマートフォンなど、
ありふれた電子端末のアプリで簡単におこなえるものが多いけど、
きちんとしたセッティングの解が出せるかどうかはチューナー次第、それなりに難しい
それでいて触媒にはダメージを与えず、純正と同程度に機能させるとなると、なおさらだ
本格的に煮詰めようとするなら、空燃比計などのツールが必要となるだろう
社外マフラーもいくつか出ているようだが、吸気側までセットとなった製品はまだ見たことが無い
下手に手を出さないほうがいいように思われる
強いて言うならフルエキで、エキパイの長さを充分にとって排気慣性を稼いだ仕様のものなら、
エアクリ周りが純正のままでも、あるいは・・・?
日本仕様車は騒音規制をクリアするため、タイ仕様や欧州仕様に対して、
ドリブンプーリーの部品変更によって加速中の使用回転数が抑えられているという説もある
しかし日本仕様トリシティの騒音規制値と測定方法には、
国連欧州経済委員会のR41-04規則、国内で言うところの平成26年規制が適用されており、
他の仕様に対して甚だしいデチューンが施されているとは考えにくい
自分個人の乗車感覚はあまりアテにならないが、
特に谷間も無くスムーズに速度が伸びると感じる
同一の仕様か、もし異なる部品を使用していたとしても、そう極端な仕様ではなさそうである
H13・22規制の理不尽さから連想されて広まった誤解、
現代バイク乗りのトラウマに由来する都市伝説という見方もできる
・・・というのはちと大袈裟か?
※追記
2015年10月14日
社外マフラーについて追記
2016年9月25日
タイトル変更、内容一部改訂
2016年10月2日
一部追記
2016年10月31日
一部追記・修正
2016年11月16日
2017年型トリシティ125の発表に合わせて加筆
2017年10月24日
一部加筆
2015/10/09
冬支度:トリシティ・タイヤ考の巻
※追記・2016年12月2日
この投稿は度重なる追記の結果、
構成がだいぶ冗長なものとなっています
全文をご覧になると時間がかかりますので、下記の投稿、
雪道のような低摩擦係数の路面に近い軟弱な泥地の上で、
実際に転倒した際の状況写真などを、
先に参照していただけると幸いです
要点についてはあちらのほうが簡潔だと思います
失敗事例・トリシティ、滑りゴケの巻
https://trikai.blogspot.com/2016/12/blog-post.html
最近は「雪道」「スノータイヤ」というクエリから、当ブログへ辿り着く方が多いようだ
こんな辺境によくお越しなさった、とりあえずお茶をどうぞ 旦~~
「三輪=安定性が高い」というイメージが先行している面があるのだろう
それは間違ってはいないんだけど、しかし雪道や凍結路面への耐性に関しては、
トリシティは他の二輪車と比べて特に優れているわけではない
むしろ不利な要素をけっこう持っていたりする
Web上ではブロックタイヤやスノータイヤを履かせている例を散見するけど、
ひと通り調べた限りでは荷重指数や速度記号が純正装着品を下回っているものが多い
大都市の動脈の事情となると疎いのだが、
淑やかに走っている限りは3ケタが要求される場面はまず無いだろう
耐荷重性にしても、タンデム時や積載時を考慮した上での選定なので当然余裕はあるわけで、
たとえば普及スクーター向けの10インチホイール用スノータイヤでも、
純正品と比べてやや軽荷重向け・低速向けのスペックであることは珍しくない
Webで見かけるトリシティで気になるのは、特に後輪に対して、
耐荷重能力に80kg近い差があるタイヤを履かせているケースである
一例として、純正リアタイヤが荷重指数64=最大荷重280kgのところを、
荷重指数51=最大荷重195kgのブロックタイヤを装着する、など
さすがにこれだけ耐荷重能力が違うと、安全性・耐久性の面では好ましくない
高校数学や物理ですらパンクするレベルのポンコツ頭なので、
以下、いろいろ間違えている部分があるかと思いますが・・・どうか笑ってやってください
一般に、面に置かれた物体への荷重=垂直抗力が増せば、それに比例して摩擦力は増加する
しかし弾性や摩耗性を持ち、路面を転がるゴムタイヤの場合、そう話は単純ではない
ざっくり言うと、荷重を2倍に増やしても、摩擦力が2倍にならない
そのタイヤの耐荷重限界を十分下回る領域であれば、摩擦力は荷重の増加にほぼ比例するが、
荷重が限界に近づくにつれて、摩擦力の伸びは鈍くなっていく
縦軸が摩擦力、横軸が荷重、横軸の終端が耐荷重限界の線グラフに表すと、
原点からしばらく右上がりに描かれていた直線が、中盤から徐々に曲線へと変化していく
荷重限界に近い状態に置かれたタイヤの摩擦力は、非線形特性となるわけだ
ついでに言えばタイヤだけでなく、路面の耐荷重性も話に絡んでくる
実際には、荷重指数で示された最大荷重にはさらに安全余裕が取られているはずで、
最大荷重に達したからといって、即座に破裂したりグリップを完全に失ったりは、当然しない
が、本来よりも耐荷重能力が低いタイヤに変更している場合、
大きな荷重をかけた際に、摩擦力が非線形領域に入りやすくはなる
トリシティのユーザー向け取り扱い説明書によれば、
車両総重量=走行可能かつ2名乗車・メットイン5kg・フック1kgの完全積載状態での重量は262kg、
前後分布荷重比は約4:6、後輪の分布荷重は159kg
・・・の、はずなんだけど、どうもヤマハは荷物の積載を勘定に入れていないようで、
さらにライダー1名の想定体重を 55kg としているらしい
ちなみに本邦の成人女性の平均体重はおよそ50kgちょい、成人男性のそれは約65kg強だという
・・・まあ、このあたりはとりあえず脇に置いておこう・・・
純正品の場合、平坦地で停止中のリアタイヤ荷重余裕は40%と少しということになる
1名乗車でメットインがカラであれば、余裕が増す
一方で加速中は分布荷重が後輪へと移動するため、余裕は減る
登坂中も同様だけど、こちらは同時に垂直抗力の減少も生じるため、少しややこしい
これが先ほど例として挙げた荷重指数51のリアタイヤの場合、
前後タイヤ外径の変化による分布荷重の変動を度外視すると、
車両総重量での荷重余裕は20%を割り込む(159/195 = 0.815…)
1名乗車であればマシになるはずだけど、
この状態で元気よく発進させたり、急な坂道を登らせたりすると・・・?
あるいは、それらの最中に急旋回させたりすると・・・?
あと、耐荷重能力が低い、つまりは強度に劣るタイヤを履かせると、
路面からの衝撃の多くをタイヤ側が変形によって吸収してしまい、
入力が伝わらずにサスペンションが動かなくなる傾向もあるよ
タイヤに過負荷がかかるのは言わずもがな
あまりにも純正品と特性が異なるタイヤを履かせていると、
過失扱いなら整備不良車、故意扱いなら不正改造車として、
警告・検挙されても文句は言えない
まあ、改造されたモンキーの多くがブローバイガス還元装置を外されているような現状でも、
実際に反則判定をもらったという話は聞かないから、滅多に無いことだろうが・・・
還元装置に関しては、警察が本気で取り締まったら阿鼻叫喚の地獄絵図だろうな・・・
確かに還元装置が無いほうがキャブレターのセッティングはしやすいけど、
環境対策という主作用以外にも、エンジンオイルのコンディション維持や、
単気筒やV型2気筒、360度or270度位相クランク採用の直列2気筒エンジンの場合であれば、
クランクケースの内圧を適正に保ってポンピングロスを減らすという副次的な作用もあるんで、
パワーを追求する上で一概に悪だとは言い切れないんだけどな・・・
・・・話をタイヤに戻す
もし走行中に足回りが突然逝ったら、
バイクどころかライダー本人や通りすがりの方の人生まで終わりかねない
タイヤ選びはもう少し慎重におこなうべきだと思う
しかしタイヤの選択肢そのものが少ないのも事実で、ここがトリシティの欠点のひとつである
一応IRC製のスノータイヤには、純正に近い荷重指数かつリムに適合するものがあるようだが、
やはり純正品と完全に同じサイズではない
・・・というのは過去の話
互換サイズのスノータイヤ・SN26、IRCが作ってくれたぞ!
詳しくは最下部のリンクへどうぞ
それどころか、ノーマルタイヤでさえ互換サイズが少ない
前輪は幅90mmかつ偏平率80%を満たすものが無い
後輪はいくらか同サイズ・同等仕様のものがあるが、大抵は大型スクーターのフロント用である
指定回転方向を逆向きにして、フロント用をリアに取り付けるという最終手段もあるにはあるが・・・
互換品が皆無な状況は改善されました
こちらも詳しくは最下部のリンクへどうぞ
重くて足つきが良くないのも雪道では減点個所となる
チェーンを巻いたカブ型の実用車やビジネススクーター、小柄な10インチ車であれば、
圧雪路面や氷結路面でも、2輪と2足で安定させながらじりじりと進行できる場合がある
新雪でも底打ちしない程度の積り具合であればなんとかなることが多い
トリシティは身長170cm程度のライダーでも、両足をつけるとなるとかかとがそれなりに浮いてしまう
雪に突っ込んだときに前輪にかかる抵抗が多いこともあって、牛歩走法が難しいのだ
片足をフロアに乗せたままなら出した足はベタづきとなるので、
ライダーがスノーブーツを履くなりすればいくらか安心感が増す
スクーターとしてはシートが高いが、それでも一般的なロードスポーツ車とほぼ同じであり、
多くのオフ車よりはよく足がつくのも事実ではある
後は駆動・変速装置の問題だな・・・
トリシティを含むスクーターでは一般的な、
乾式・遠心式自動クラッチ+トルクカム付き遠心式・Vベルト式無段変速機は、
・クランクシャフト―路面間の駆動力伝達が完全、
つまりクラッチが完全に接続されていて、
かつタイヤと路面の間に十分な摩擦が発生している状態でなければ、
トルクカムがうまく機能せず、ローレシオ側への変速と維持が有効におこなわれない
滑りやすい路面の上で、まずクラッチを繋ごうと単純にエンジン回転数を上げると、
クラッチ接続の直前でタイヤが空転に陥りやすい
空転させずにクラッチ接続速度、またそれ以上まで加速しようとすれば、
細やかなスロットルワーク・リアのブレーキワークが必要になる
・クラッチ接続速度に満たない徐行状態では、
駆動力の調整はスロットル開度と半クラッチ、リアブレーキ制動力の釣り合い頼みとなる
しかし乾式クラッチは湿式と比較して、
半クラッチ状態を多用せざるを得ない状況には向いていない
・クラッチ接続+エンジン回転数を一定に保った状態で、
後輪が空転を始める=変速機にかかっているエンジントルクが抜けると、
「速度が上がった」と変速機が「勘違い」してしまい、
そのままどんどんハイレシオ側に変速してしまう
このためライダーが空転の度合いを把握しにくいうえに、
再度グリップ状態に復帰させる際に必要なスロットルの戻し量が多い
・上記3項と関連して、有段変速車の2速・1速に相当する変速比・駆動力の維持が厳しい
一応、スロットルを開けつつ後輪ブレーキを使うことで強制的にトルクカムを作用させる、
あるいはその応用で、スロットルをさほど戻さず後輪ブレーキによって空転を収める手法もあるが、
いずれもクラッチないしブレーキに負担を強いるうえに、熱として損失する出力も増える
・・・といった特性を持っており、根本的に低摩擦係数の路面とは相性が悪い
これがカブのような、
変速時の強制開放&バックトルク発生時の強制接続機構付き湿式・遠心式自動クラッチ
+足踏み選択式・常時噛合ギア式有段変速機、という組み合わせであれば、
変速比が固定されるため、空転の状態が即座にエンジン回転数へと反映される、
1速でどうしても空転するなら2速発進を試行できる、
動き出したら1速へ落とすことで、徐行状態でもクラッチへの負荷を抑えられる、など、
低摩擦係数の路面の上では、Vベルト式CVTに対していくらか有利な点があるのだ
降雪下を含めた全天候性を重視するなら、トリシティを選ぶ優先度はそれほど高くない
トリシティがその全力を発揮できるのは晴れから雨、曲がりなりにも舗装された道の上である
逆に言えば、雨の中で荒れ気味のアスファルトを走るような場面では二輪車にライバルはいない
降雪が日常的な地域であれば、普段使いにはやはり四輪車のほうが適していると思う
もちろん、趣味の道具としてお考えならば、猛烈にプッシュするところなのだけれど
近々、実際の足つきについて写真で解説してみようかな
だいぶ遅くなりましたか、解説してみました
トリシティの足着き性について
とりあえずお茶、もう一杯いかが? 旦~~
補足事項まとめ
トリシティの耐雪性と、当ブログのレビュー方針
冬用ではないけれど、トリシティ向けタイヤ新発売の報
祝・トリシティ純正互換タイヤ発売の巻(IRC:モビシティ)
IRCが専用スノータイヤを作ってくれました
祝・トリシティシリーズ向けスノータイヤ発売(IRC:SN26)
※2015年10月14日
足つきについて追記
2016年8月31日
関連投稿へのリンクを追加
2016年9月17日
関連投稿へのリンクを追加
2016年9月20日・22日・23日・24日
逐次加筆・訂正
2016年10月3日
一部加筆
2016年10月6日
一部改訂
2016年10月16日
一部追記
2016年10月23日
一部追記
2016年11月20日
関連投稿へのリンクを追加
2016年12月2日
関連投稿へのリンクを追加
この投稿は度重なる追記の結果、
構成がだいぶ冗長なものとなっています
全文をご覧になると時間がかかりますので、下記の投稿、
雪道のような低摩擦係数の路面に近い軟弱な泥地の上で、
実際に転倒した際の状況写真などを、
先に参照していただけると幸いです
要点についてはあちらのほうが簡潔だと思います
失敗事例・トリシティ、滑りゴケの巻
https://trikai.blogspot.com/2016/12/blog-post.html
最近は「雪道」「スノータイヤ」というクエリから、当ブログへ辿り着く方が多いようだ
こんな辺境によくお越しなさった、とりあえずお茶をどうぞ 旦~~
「三輪=安定性が高い」というイメージが先行している面があるのだろう
それは間違ってはいないんだけど、しかし雪道や凍結路面への耐性に関しては、
トリシティは他の二輪車と比べて特に優れているわけではない
むしろ不利な要素をけっこう持っていたりする
Web上ではブロックタイヤやスノータイヤを履かせている例を散見するけど、
ひと通り調べた限りでは荷重指数や速度記号が純正装着品を下回っているものが多い
大都市の動脈の事情となると疎いのだが、
淑やかに走っている限りは3ケタが要求される場面はまず無いだろう
耐荷重性にしても、タンデム時や積載時を考慮した上での選定なので当然余裕はあるわけで、
たとえば普及スクーター向けの10インチホイール用スノータイヤでも、
純正品と比べてやや軽荷重向け・低速向けのスペックであることは珍しくない
Webで見かけるトリシティで気になるのは、特に後輪に対して、
耐荷重能力に80kg近い差があるタイヤを履かせているケースである
一例として、純正リアタイヤが荷重指数64=最大荷重280kgのところを、
荷重指数51=最大荷重195kgのブロックタイヤを装着する、など
さすがにこれだけ耐荷重能力が違うと、安全性・耐久性の面では好ましくない
高校数学や物理ですらパンクするレベルのポンコツ頭なので、
以下、いろいろ間違えている部分があるかと思いますが・・・どうか笑ってやってください
一般に、面に置かれた物体への荷重=垂直抗力が増せば、それに比例して摩擦力は増加する
しかし弾性や摩耗性を持ち、路面を転がるゴムタイヤの場合、そう話は単純ではない
ざっくり言うと、荷重を2倍に増やしても、摩擦力が2倍にならない
そのタイヤの耐荷重限界を十分下回る領域であれば、摩擦力は荷重の増加にほぼ比例するが、
荷重が限界に近づくにつれて、摩擦力の伸びは鈍くなっていく
縦軸が摩擦力、横軸が荷重、横軸の終端が耐荷重限界の線グラフに表すと、
原点からしばらく右上がりに描かれていた直線が、中盤から徐々に曲線へと変化していく
荷重限界に近い状態に置かれたタイヤの摩擦力は、非線形特性となるわけだ
ついでに言えばタイヤだけでなく、路面の耐荷重性も話に絡んでくる
実際には、荷重指数で示された最大荷重にはさらに安全余裕が取られているはずで、
最大荷重に達したからといって、即座に破裂したりグリップを完全に失ったりは、当然しない
が、本来よりも耐荷重能力が低いタイヤに変更している場合、
大きな荷重をかけた際に、摩擦力が非線形領域に入りやすくはなる
トリシティのユーザー向け取り扱い説明書によれば、
車両総重量=走行可能かつ2名乗車・メットイン5kg・フック1kgの完全積載状態での重量は262kg、
前後分布荷重比は約4:6、後輪の分布荷重は159kg
・・・の、はずなんだけど、どうもヤマハは荷物の積載を勘定に入れていないようで、
さらにライダー1名の想定体重を 55kg としているらしい
ちなみに本邦の成人女性の平均体重はおよそ50kgちょい、成人男性のそれは約65kg強だという
・・・まあ、このあたりはとりあえず脇に置いておこう・・・
純正品の場合、平坦地で停止中のリアタイヤ荷重余裕は40%と少しということになる
1名乗車でメットインがカラであれば、余裕が増す
一方で加速中は分布荷重が後輪へと移動するため、余裕は減る
登坂中も同様だけど、こちらは同時に垂直抗力の減少も生じるため、少しややこしい
これが先ほど例として挙げた荷重指数51のリアタイヤの場合、
前後タイヤ外径の変化による分布荷重の変動を度外視すると、
車両総重量での荷重余裕は20%を割り込む(159/195 = 0.815…)
1名乗車であればマシになるはずだけど、
この状態で元気よく発進させたり、急な坂道を登らせたりすると・・・?
あるいは、それらの最中に急旋回させたりすると・・・?
あと、耐荷重能力が低い、つまりは強度に劣るタイヤを履かせると、
路面からの衝撃の多くをタイヤ側が変形によって吸収してしまい、
入力が伝わらずにサスペンションが動かなくなる傾向もあるよ
タイヤに過負荷がかかるのは言わずもがな
あまりにも純正品と特性が異なるタイヤを履かせていると、
過失扱いなら整備不良車、故意扱いなら不正改造車として、
警告・検挙されても文句は言えない
まあ、改造されたモンキーの多くがブローバイガス還元装置を外されているような現状でも、
実際に反則判定をもらったという話は聞かないから、滅多に無いことだろうが・・・
還元装置に関しては、警察が本気で取り締まったら阿鼻叫喚の地獄絵図だろうな・・・
確かに還元装置が無いほうがキャブレターのセッティングはしやすいけど、
環境対策という主作用以外にも、エンジンオイルのコンディション維持や、
単気筒やV型2気筒、360度or270度位相クランク採用の直列2気筒エンジンの場合であれば、
クランクケースの内圧を適正に保ってポンピングロスを減らすという副次的な作用もあるんで、
パワーを追求する上で一概に悪だとは言い切れないんだけどな・・・
・・・話をタイヤに戻す
もし走行中に足回りが突然逝ったら、
バイクどころかライダー本人や通りすがりの方の人生まで終わりかねない
タイヤ選びはもう少し慎重におこなうべきだと思う
しかしタイヤの選択肢そのものが少ないのも事実で、ここがトリシティの欠点のひとつである
・・・というのは過去の話
互換サイズのスノータイヤ・SN26、IRCが作ってくれたぞ!
詳しくは最下部のリンクへどうぞ
それどころか、ノーマルタイヤでさえ互換サイズが少ない
互換品が皆無な状況は改善されました
こちらも詳しくは最下部のリンクへどうぞ
重くて足つきが良くないのも雪道では減点個所となる
チェーンを巻いたカブ型の実用車やビジネススクーター、小柄な10インチ車であれば、
圧雪路面や氷結路面でも、2輪と2足で安定させながらじりじりと進行できる場合がある
新雪でも底打ちしない程度の積り具合であればなんとかなることが多い
トリシティは身長170cm程度のライダーでも、両足をつけるとなるとかかとがそれなりに浮いてしまう
雪に突っ込んだときに前輪にかかる抵抗が多いこともあって、牛歩走法が難しいのだ
片足をフロアに乗せたままなら出した足はベタづきとなるので、
ライダーがスノーブーツを履くなりすればいくらか安心感が増す
スクーターとしてはシートが高いが、それでも一般的なロードスポーツ車とほぼ同じであり、
多くのオフ車よりはよく足がつくのも事実ではある
後は駆動・変速装置の問題だな・・・
トリシティを含むスクーターでは一般的な、
乾式・遠心式自動クラッチ+トルクカム付き遠心式・Vベルト式無段変速機は、
・クランクシャフト―路面間の駆動力伝達が完全、
つまりクラッチが完全に接続されていて、
かつタイヤと路面の間に十分な摩擦が発生している状態でなければ、
トルクカムがうまく機能せず、ローレシオ側への変速と維持が有効におこなわれない
滑りやすい路面の上で、まずクラッチを繋ごうと単純にエンジン回転数を上げると、
クラッチ接続の直前でタイヤが空転に陥りやすい
空転させずにクラッチ接続速度、またそれ以上まで加速しようとすれば、
細やかなスロットルワーク・リアのブレーキワークが必要になる
・クラッチ接続速度に満たない徐行状態では、
駆動力の調整はスロットル開度と半クラッチ、リアブレーキ制動力の釣り合い頼みとなる
しかし乾式クラッチは湿式と比較して、
半クラッチ状態を多用せざるを得ない状況には向いていない
・クラッチ接続+エンジン回転数を一定に保った状態で、
後輪が空転を始める=変速機にかかっているエンジントルクが抜けると、
「速度が上がった」と変速機が「勘違い」してしまい、
そのままどんどんハイレシオ側に変速してしまう
このためライダーが空転の度合いを把握しにくいうえに、
再度グリップ状態に復帰させる際に必要なスロットルの戻し量が多い
・上記3項と関連して、有段変速車の2速・1速に相当する変速比・駆動力の維持が厳しい
一応、スロットルを開けつつ後輪ブレーキを使うことで強制的にトルクカムを作用させる、
あるいはその応用で、スロットルをさほど戻さず後輪ブレーキによって空転を収める手法もあるが、
いずれもクラッチないしブレーキに負担を強いるうえに、熱として損失する出力も増える
・・・といった特性を持っており、根本的に低摩擦係数の路面とは相性が悪い
これがカブのような、
変速時の強制開放&バックトルク発生時の強制接続機構付き湿式・遠心式自動クラッチ
+足踏み選択式・常時噛合ギア式有段変速機、という組み合わせであれば、
変速比が固定されるため、空転の状態が即座にエンジン回転数へと反映される、
1速でどうしても空転するなら2速発進を試行できる、
動き出したら1速へ落とすことで、徐行状態でもクラッチへの負荷を抑えられる、など、
低摩擦係数の路面の上では、Vベルト式CVTに対していくらか有利な点があるのだ
降雪下を含めた全天候性を重視するなら、トリシティを選ぶ優先度はそれほど高くない
トリシティがその全力を発揮できるのは晴れから雨、曲がりなりにも舗装された道の上である
逆に言えば、雨の中で荒れ気味のアスファルトを走るような場面では二輪車にライバルはいない
降雪が日常的な地域であれば、普段使いにはやはり四輪車のほうが適していると思う
もちろん、趣味の道具としてお考えならば、猛烈にプッシュするところなのだけれど
だいぶ遅くなりましたか、解説してみました
トリシティの足着き性について
とりあえずお茶、もう一杯いかが? 旦~~
補足事項まとめ
トリシティの耐雪性と、当ブログのレビュー方針
冬用ではないけれど、トリシティ向けタイヤ新発売の報
祝・トリシティ純正互換タイヤ発売の巻(IRC:モビシティ)
IRCが専用スノータイヤを作ってくれました
祝・トリシティシリーズ向けスノータイヤ発売(IRC:SN26)
※2015年10月14日
足つきについて追記
2016年8月31日
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2016年9月17日
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2016年9月20日・22日・23日・24日
逐次加筆・訂正
2016年10月3日
一部加筆
2016年10月6日
一部改訂
2016年10月16日
一部追記
2016年10月23日
一部追記
2016年11月20日
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2016年12月2日
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2015/10/05
2015/10/02
モーターショー
開催まで1ヶ月の東京モーターショー2015
ホンダの告知に「NEOWING」なる巨大な三輪車を発見
・「第44回東京モーターショー2015」Hondaブース出展概要について
http://www.honda.co.jp/news/2015/c150930.html
「ホンダが大型バイク向けと思しきリーニング式前2輪サスペンションの特許を取っているらしい」
という噂は、以前からところどころで聞いたり見たりしていた
もしコンセプトモデルを起こすなら、エンジンはたぶんNCシリーズの2気筒あたりかな、
とか思っていたら、まさかの水平対向4気筒+ハイブリッドシステムときた
この名前、GOLDWINGの血筋なんだろうか
トリシティのような小型の前2輪三輪車は、普通の2輪車に比べて、
操安性と引き換えに取り回し性が悪化する傾向があるけど
車重200kg超の大型車の場合は、むしろメリットがあるのかもしれない
チルトロック機能があれば、ゴロンと転がしてしまう心配は減るんじゃないだろうか
やっぱりリーン式三輪車は、それなりの車格と排気量を持った車種が主流になるのかな
決して小型車に向かない機構ではないし、
高い操安性が心強いのは普段使いのコミューターもツアラーやロードスポーツと同じなんだけど、
いわゆるゲタとしてのバイクは軽さやシンプルさも重要だからなぁ
やっぱりアドレスV125は偉大
新型のディオ110もすごい乗り物だと思った
でもPCXが気になるなら、ぜひトリシティをご検討ください
足を前に投げ出して踏ん張るだけがスクーターの乗車姿勢じゃないよ
高いシートと低いフロアの組み合わせなら、足を下に落とすポジションも意外と快適
増えろ・・・もっと増えろ・・・
それはそうと、「Super Cub Concept」が気になる
す ご く 気 に な る
JA07型以降はなんだかいろんな意味で中途半端なシロモノになっちゃったけど、
本来は経済性や耐久性はもちろん、操縦性や安定性もよし、乗車姿勢もよし、
弱点を強いて挙げるならブレーキ性能がもうちょい欲しい程度、という脅威の万能原付だった
リアアクスルスリーブナットが23mmというレアサイズなのを除けば、整備性も抜群に良かった
モンキーレンチ使えばいいだろって? 一応あそこ、それなりのトルクで締まってるじゃないか
写真で見る限りじゃフロントサスはテレスコ式、ドリブンスプロケットはハブ側支持
JA07・JA10と同様で、以前ほどの機能性は期待できそうにないけど、
少なくとも初代をアレンジしたディティールと、色の質感は素晴らしい
これは注目しておこう
一方でヤマハの特別サイトは、だいぶベクトルを間違えてる気がする
http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/2015tokyomotorshow/sp/
まぁ、可愛いんだけどさ、これでいいのかにゃあ?
「おっきめにリーン!」ってことは、軽二輪版トリシティの発表とかあるのかもね
最近の写真2点

ホンダの告知に「NEOWING」なる巨大な三輪車を発見
・「第44回東京モーターショー2015」Hondaブース出展概要について
http://www.honda.co.jp/news/2015/c150930.html
「ホンダが大型バイク向けと思しきリーニング式前2輪サスペンションの特許を取っているらしい」
という噂は、以前からところどころで聞いたり見たりしていた
もしコンセプトモデルを起こすなら、エンジンはたぶんNCシリーズの2気筒あたりかな、
とか思っていたら、まさかの水平対向4気筒+ハイブリッドシステムときた
この名前、GOLDWINGの血筋なんだろうか
トリシティのような小型の前2輪三輪車は、普通の2輪車に比べて、
操安性と引き換えに取り回し性が悪化する傾向があるけど
車重200kg超の大型車の場合は、むしろメリットがあるのかもしれない
チルトロック機能があれば、ゴロンと転がしてしまう心配は減るんじゃないだろうか
やっぱりリーン式三輪車は、それなりの車格と排気量を持った車種が主流になるのかな
決して小型車に向かない機構ではないし、
高い操安性が心強いのは普段使いのコミューターもツアラーやロードスポーツと同じなんだけど、
いわゆるゲタとしてのバイクは軽さやシンプルさも重要だからなぁ
やっぱりアドレスV125は偉大
新型のディオ110もすごい乗り物だと思った
でもPCXが気になるなら、ぜひトリシティをご検討ください
足を前に投げ出して踏ん張るだけがスクーターの乗車姿勢じゃないよ
高いシートと低いフロアの組み合わせなら、足を下に落とすポジションも意外と快適
増えろ・・・もっと増えろ・・・
それはそうと、「Super Cub Concept」が気になる
す ご く 気 に な る
JA07型以降はなんだかいろんな意味で中途半端なシロモノになっちゃったけど、
本来は経済性や耐久性はもちろん、操縦性や安定性もよし、乗車姿勢もよし、
弱点を強いて挙げるならブレーキ性能がもうちょい欲しい程度、という脅威の万能原付だった
リアアクスルスリーブナットが23mmというレアサイズなのを除けば、整備性も抜群に良かった
モンキーレンチ使えばいいだろって? 一応あそこ、それなりのトルクで締まってるじゃないか
写真で見る限りじゃフロントサスはテレスコ式、ドリブンスプロケットはハブ側支持
JA07・JA10と同様で、以前ほどの機能性は期待できそうにないけど、
少なくとも初代をアレンジしたディティールと、色の質感は素晴らしい
これは注目しておこう
一方でヤマハの特別サイトは、だいぶベクトルを間違えてる気がする
http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/2015tokyomotorshow/sp/
まぁ、可愛いんだけどさ、これでいいのかにゃあ?
「おっきめにリーン!」ってことは、軽二輪版トリシティの発表とかあるのかもね
最近の写真2点


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