2018/03/20

原付二種スーパーカブシリーズの電装仕様の変遷、およびFIカブの灯火LED化の難易度

新ラベルを作るついでにちょっとメモ、正確さは保証しない
12V電装採用(1986年7月)以降の、比較的新しいモデルたちについて



C70/HA02型 スーパーカブ70/90シリーズ

交流系統と直流系統が混在している

ヘッドライト、テールランプ、およびメーター照明は、
ACジェネレーターの灯火線から供給され、
レギュレート・レクチファイアによって制御される交流で作動
制御電圧は5,000rpm時・アナログテスター読みで10.5-14.5V
デジタルテスターの場合は10.3-14.3V

ストップランプ、ウインカー、ニュートラルランプなどは、
ACジェネレータの充電線から供給され、
レギュレート・レクチファイアとバッテリーを介した直流で作動
整流方式は単相半波整流・半波短絡式
制御電圧は14-16V、充電電流は上限0.5A
いずれも5,000rpm時

点火方式がマグネトー/AC-CDI式のため、
ACジェネレーターの点火線から出力された交流が、
CDIへと直接供給されている



JA07型 スーパーカブ110シリーズ

FI化に伴い、電装の仕様が一新された
点火方式はバッテリー式へと改められた
ACジェネレータからの出力線は、アース線を除き、
レギュレート・レクチファイアへと繋がる1本のみとなった

レギュレート・レクチファイア以降の全系統が直流で作動
整流方式は単相半波整流
ただし、交流電圧の正の範囲と負の範囲を個別に半波整流し、
正の範囲を整流したものをバッテリー充電系統へ、
負の範囲を整流したものを恒常的に点灯する灯火へと供給する、
独特な構成となっている

つまり、ヘッドライト、テールランプ、およびメーター照明は、
バッテリーを介さず、レギュレート・レクチファイアから直接供給される、
プラスアースの脈流にて作動している

このため、一般的なマイナスアース仕様のLEDヘッドライト、
ないしLEDテールランプの場合、ただ装着しただけでは正常に点灯しない
交流対応回路のものも、整流用ダイオードの極性の問題でアウトとなる場合が多い

また、バッテリー電源を前提に設計された回路のバルブでは、
脈流の最大電圧に耐えられず、すぐに故障する

一応の解決策として、
車体側への加工によるバッテリー電源化が流行した
ただし、半波整流のままではデメリットも考えられる

最近では整流回路にブリッジダイオードを採用することで、
車体側への加工無しで正常に点灯する製品も販売されているが、
シンプルな回路の製品に対して高価である



JA10型 スーパーカブ110シリーズ

基本的にはJA07型を踏襲している

テール&ストップランプのソケットが、ウェッジから口金に変更された
また、ライセンスランプがテールランプ別体となって独立した



JA44/JA42/JA45型 スーパーカブ110シリーズ

ヘッドライトのLED化に伴い、電装の仕様が再度変更された

レギュレート・レクチファイア以降の全系統が直流で作動する
整流方式は単相半波整流・半波開放式

バッテリー電圧が正常な場合、
イグニッションスイッチをONにすると、
ポジションランプ(ヘッドライト下側左右)とテールランプ、
メーター照明が、エンジンの始動前から点灯するようになった
少なくともこの3箇所はバッテリー電源となっている
テールランプとメーター照明のLED化は手軽であると言える

なお、バッテリー電圧が不足の場合は、負荷カットリレーの作用によって、
これら灯火への電力供給がエンジン始動まで遮断される

一方、ヘッドライトのロービームおよびハイビームは、バッテリーを介さず、
レギュレート・レクチファイアから専用線で直接供給される電力で作動する
アース線もフレームアース系統とは独立した専用のものが用意される

テール&ストップランプのソケットが、再びウェッジへと変更された



※追記
2018年3月31日
改訂