2016/10/05

トリシティ・素朴な疑問編「Q:前輪が2つならフロントのグリップ力も2倍になるんでしょう?」

A:
静止状態や定速走行時の場合、
フロントのグリップ力は、近似仕様の前輪を持つ前1輪車とそれほど変わりません
一方で制動中や大バンク角旋回中など、高荷重下でのグリップ限界は大きく高まります

・・・って書くと、意外に思われる方、けっこう多いでしょう?

そもそもなぜ突然「素朴な疑問編」なる記事を起こしたのか?
理由は後程
長い前置きですが、時間が許すようであればお付き合いください



俺のようなポンコツ頭でも説明がしやすいように、
とことん単純化した仮想のバイクを用意してしまおう


同じ車両重量、同じライダー、同じ重心位置、
同じ前後分布荷重比、同じエンジン、同じ前後ホイール・タイヤ・・・
つまり前輪の数以外は、すべての条件がまったく同じ2台のスクーターがあるとします
α車が通常の二輪車で、β車がヤマハ式のLMW機構を備えた「特定二輪車」
もちろん実際には特定二輪車のほうが重くなりがちだし、
通常のスクーターの分布荷重はもっと後輪に偏っているのが一般的だけどね
ライダーもライダーで、体重が70kgあるなら身長が170cmは無いとBMIがギリギ(以下掲載不許可)

ゴムタイヤの場合、
大荷重負担時や、強烈な駆動力・制動力の伝達時には、摩擦力が非線形特性を示すけど、
ひとまずこちらも F=μN (摩擦力 F は、静止または動摩擦係数 μ と垂直抗力 N の積)、
という高校物理で習う基本的な式のみでシンプルに考えていきます

本来、垂直抗力は路面からの反力なので上向きの力ですが、
この図中では単純に輪軸ないしタイヤ接地面にかかる重さとして下向きの矢印とし、
単位も荷重指数との対照がしやすいよう kg としています
正確には質量ではなく力の単位なので kgf 、SI準拠の表記だと N を使うべきですね
1[kg] * 9.8[m/s^2] = 9.8[N]
・・・で、よかったっけ・・・? 
高校数学や物理でもパンクするレベルのポンコツ頭なので(略)

タイヤの許容最大荷重は前後それぞれ、
平坦路静止時荷重と同値のマージンが設定されているとします

路面は平坦かつ十分頑丈に舗装されていて、
摩擦係数は限りなく1に近い状態を想定しましょう
これもこれでだいぶ現実離れした好条件ですが・・・どうかお気になさらず

以下、特定二輪車については「LMW車」という表記を用いていますが、
ヤマハ発動機の製品に限らず、
前2輪・後1輪で車体の傾斜機構を備えている車種は、
概ね同様の特性を備えています

さて、ライダー込みの車重が200kgで前輪の分布荷重が45%ということは、
静止時や定速走行時に前輪が負担している荷重は、
 200*0.45 で 90kg ということになります
通常二輪車はこれを1輪で、LMW車はこれを2輪に分散させて受け止めています

この時点でお察しの方も多いことでしょう
前1輪車と同じタイヤを2つ並べることで、1輪あたりの負担荷重=垂直抗力は、
前1輪車の半分になっているんです(90[kgf]/2 = 45[kgf])
発生する摩擦力は前1輪と前2輪で、計算上はまったく同じ値となります
(この荷重下での最大摩擦力は、 μ*882[N] = μ*441[N]*2 )

ついでに言えば、荷重が軽ければタイヤの変形も少ないため、
接地面積も単純に2倍にはなりません
この点は転がり抵抗の増加についても言えます



では、平坦舗装路での定速走行状態からブレーキをかけるなどして前輪に荷重が移り、
前後分布荷重比が7:3になったらどうなるのでしょうか?


前輪は 200*0.7 で 140kg の荷重を負担することになります
前1輪車の場合は、これを1つの前輪がそのまま受け持ちます
LMW車は1輪あたり70kgの負荷です

またLMW車の場合、
右前輪・左前輪・後輪の3つにかかっている荷重の値が近い点にもご注目ください
3輪がバランス良く荷重を分担している状態です



さらに急ブレーキをかけて、後輪が浮く直前、
前後分布荷重比9:1といった極端な状況も想定してみましょう


200*0.9 で、前輪の負担は 180kg です
前1輪車は許容最大荷重に達してしまいました
一方のLMW車は1輪あたり90kg、最大荷重までは50%の余裕を残しています

二輪車に対してLMW車は、フロントが負担できる最大荷重が2倍になっているんです
より大きな荷重=より大きな垂直抗力をかけることができるのなら、
F=μN に基づいて摩擦力が増加し、強烈な制動力に対して強い粘りを発揮します

言い換えると、前輪が負担する荷重が同じならば、1輪あたりの負荷は半分で済みます
限界を十分に下回る負荷領域で、タイヤを使うことができるんですね



「理由は後程」とか書いておきながら、以下はまだ構文・推敲中です・・・
気長にお待ちいただけますと幸いです
「長いからもう飽きた」? すみません!

Under construction.....